抵抗溶接とは

溶接は、接合方法によって大きく「融接」、「圧接」、「ろう接」の3つに分類されます。

被溶接材を溶かしたり、母材を接合するための溶加材と母材を溶かして接合する「融接」、

機械的に摩擦や圧力、電流などで母材を溶かして接合する「圧接」、

接合部分に接合するための溶加材(ろう)を使用する「ろう接」です。

その中でも抵抗溶接は、圧力や電流を利用して接合する「圧接」の一つです。被溶接材を重ね合わせ溶接個所を電極で挟み、適切な圧力を加えて電極間に電流を流します。電流を流した際に発熱する「抵抗発熱」により母材を溶融させ、2つの金属を接合する溶接技術です。

抵抗溶接の原理

抵抗溶接は被溶接材を電極で挟み、適切な圧力を加えて電流を流すことによる金属の抵抗発熱(ジュール熱)を利用するものです。抵抗発熱により被溶接材が溶融し、加圧により材料同士が混ざり合います。これにより被溶接材が接合するのです。

また、抵抗発熱はジュールの法則により次の式で計算されます。

Q=I²Rt[J]

ここでQは抵抗発熱の発熱量(J)、Iは電流値(A)、Rは2つの被溶接材間の抵抗値(Ω)、tは電流を流した通電時間(秒)です。

 

抵抗溶接のプロセス

抵抗溶接は大きく3つのプロセスに分けられます。

一つ目は加圧です。電極で加圧し被溶接材を密着させます。

二つ目は通電です。加圧させた被溶接材に電極を介して通電すると、抵抗発熱によるジュール熱が発生します。ジュール熱により母材の接合部は溶融し、加圧により、被溶接材同士が混ざりあいます。

最後が保持です。通電を中止し加圧を続けると溶融部は次第に冷却凝固し、ナゲットが形成されます。冷却後加圧をやめ電極を取り外すと被溶接材が接合されています

 

抵抗溶接の種類

抵抗溶接は重ね溶接と突き合わせ溶接に大別されます。その中でも重ね溶接の代表例はスポット溶接、プロジェクション溶接、シーム溶接であり、突き合わせ溶接の代表例はアプセット溶接とフラッシュ溶接です。

重ね溶接

重ね溶接は重ね合わせた継手の両端から加圧し、実施する抵抗溶接です。

スポット溶接

スポット溶接とは重ね合わせた被溶接材を電極の先端で挟み、比較的狭い範囲に電流及び加圧力を集中して局所的に接合する抵抗溶接です。最も有名な抵抗溶接の方法で、被溶接材を点で溶接するため、「スポット溶接」とよばれています。

 

プロジェクション溶接

プロジェクション溶接とは母被溶接材の溶接箇所に形成された突起部(プロジェクション)を相手材に接触させて、抵抗溶接する接合方法です。
プロジェクション溶接には大きく分けてエンボスプロジェクションとソリッドプロジェクションがあります。特にエンボスプロジェクションはプレスなどで加工して突起部を作り、突起部に電流を集中させるため、溶接店を複数合字に作れる特徴もあります。一方でソリッドプロジェクション溶接は板の角や丸棒の交差など初めからある突起を利用する溶接手法です。

 

シーム溶接

シーム溶接はラップシーム溶接ともよばれ、被溶接材を上下の円板電極で挟み、円板電極を回転させながら通電し、抵抗加熱により板間を連続的に接合する溶接手法です。シーム溶接は線状に溶接できるため、機密性も高いです。ガソリンタンクやドラム缶などの製造に適用されています。

 

突き合わせ溶接

突き合わせ溶接は溶接する母材の溶接継手の端面を突き合わせて、接合する抵抗溶接です。

 

アプセット溶接

アプセット溶接はバット溶接ともよばれ、溶接継手の端面を突き合わせて、加圧を加えながら通電し、適切な温度になったところで高加圧をかけて接合する手法です。重ね溶接と異なり、溶接個所を電極で挟むのではなく、継手端面を突き合わせて溶接します。溶接部には据込み(アプセット)が形成されます。小さなチェーンやバンドソーなどの製造に使用されています。

フラッシュ溶接

フラッシュ溶接は継手端面を軽く接触させた状態で通電し、接触部が火花になり溶融飛散した後に、強い加圧力を与えて接合する抵抗溶接です。アプセット溶接と異なり、通電時には高い圧力をかけず、溶接部が適切な温度になった際に圧力をかけて接合します。

抵抗溶接のメリット・デメリット

抵抗溶接の中でも最も利用されているスポット溶接のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

メリット1:溶接速度が速い
スポット溶接は点での溶接のため、線で溶接する方法に比べて作業時間が短いです。

メリット2:コストを削減できる
スポット溶接は溶加材などの消耗品を使用しません。一般的に金属の溶接は溶加材が必要なもののスポット溶接では必要なくコストの削減につながります。
メリット3:溶接後の見た目がきれい
スポット溶接は被溶接材の接触面を溶接するため、溶接個所が目立ちません。

メリット4:異種材料の溶接も可能
スポット溶接は電気を通しやすい材料であれば実施可能です。そのため、ステンレスやニッケル、アルミ、銅などの異種材同士の組み合わせもできます。

デメリット

デメリット1:強度が弱い
スポット溶接は点による溶接のため、線上に溶接しているものと比べて、強度が低いです。強度が求められる要素においては使用が難しいです。

デメリット2:厚い金属は不得意
抵抗溶接は瞬間的に電流を流して溶接するため、薄い材料の方が得意です。厚い材料の場合は、瞬間的に電流を流せず溶接できない場合もあります。

デメリット3:溶接装置が高価
溶接装置にも費用が発生します。特にアルミを対象とする場合は高い圧力や高電流を必要とするため、装置への負荷も非常に高いです。

抵抗溶接によって接合される金属の特徴

抵抗溶接は電流を流し加熱し溶接するため、電気伝導率と熱伝導率が高い材料がよく使用されます。特にニッケルやステンレスなどは抵抗溶接と相性がいい材料です。

一方で銅やアルミなどは電気伝導率や熱伝導率がよすぎるため抵抗溶接の難易度は非常に高い材料です。そのため、銅やアルミの抵抗溶接には一般的な抵抗溶接装置よりも高い電圧や圧力をかける装置が必要となり、技術的なノウハウが求められます。

 

抵抗溶接と他の溶接方法との比較

溶接は、接合方法によって大きく「融接」、「圧接」、「ろう接」の3つに分類されます。抵抗溶接は圧接に該当し、「融接」や「ろう接」とは溶接方法が異なります。

レーザー溶接と抵抗溶接の違い

融接の代表例の一つは「レーザー溶接」です。

レーザー溶接は抵抗溶接と異なり、溶接時には金属の酸化を防ぐ不活性ガスなどの溶加材が必要です。また、抵抗溶接は被溶接材を電極で挟み、圧力をかけながら電流を流す接触加工であるのに対し、レーザー溶接は非接触で加工できます。

ろう付けと抵抗溶接の違い

 

ろう接の代表例の一つは「ろう付け」です。

ろう付けは接合させたい材料は溶かさずに、溶加材(ろう)を溶かし、溶加材を接着剤代わりとして材料を接合させます。接合させたい材料同士で接合するのではなく、溶加材を介して接合しています。一方で抵抗溶接は材料を溶融させ材料同士を接合させる点が大きく異なります。

抵抗溶接における不具合と対策手法

抵抗溶接における代表的な不具合と対策手法を紹介します。

ナゲット径が小さい

溶接部材の強度はナゲット径と直接関係があるため、小さいナゲット径は強度不足の懸念があります。対策方法として、打点数を増やしたり、十分な通電時間をとりナゲットを成長させること、電極の先端径を適切な大きさに変更するなどの対応が求められます。

溶け込み深さが適切でない

被溶接材間で溶け込み深さが大きく異なる欠陥です。被溶接材を挟む電極の形状を上下対象にする対応が求められます。

ブローホールが発生する

ナゲットの内部に空隙ができる現象です。被溶接材に錆や防錆油などの不純物などの異物の除去の徹底や通電時の加圧保持時間を適切にするなどの対応が求められます。

抵抗溶接における品質管理

抵抗溶接における品質管理は破壊検査と非破壊検査に分けられます。

破壊検査

破壊検査では形成されたナゲットの断面形状を観察する手法があげられます。ナゲット部を切断し、サンプルを樹脂に埋め、研磨し断面観察するものです。ナゲットの形状やブローホールの確認をします。

また、引張試験や剥離試験もあります。溶接部の強度評価や溶け込みの目視確認も実施し、試験結果が要求数値を満たしているかの確認をするものです。その他にも溶接部にタガネを打ち込み剥離の有無を確認する試験などもあります。

非破壊検査

破壊検査は溶接個所の状態を正確に観察できるものの、部品を破壊しなければいけません。一方で非破壊検査は部品を破壊せずに溶接個所の品質を確認できます。
非破壊検査の一つが溶接条件の常時モニタリングです。電流値や加圧力、通電時間などのデータを測定し、所定の範囲内であるかを観察し溶接データから不良の判断をするものです。
また、超音波探傷試験もあります。端子を溶接部にあて超音波を発生させ、反射して帰ってきた超音波の波形を読み取り内部の構造を検査する手法です。溶け込み不足や接合不良、ブローホールなどの発生を検出できます。